カーン!
カーン!
教会の鐘が鳴る。
はぁ、はぁ・・・はぁ・・・
息が荒い。
どうしたんだろう、ここに来てからいつも見る夢。
艶めかしい、妖しい夢。
神に仕えるあの人との、許されざる夢。
じっとりと汗をかいてるせいもあり、下半身もかなり濡れている。
下着を代えないと。
「うっ・・・」
ちょっと触れただけで全身に電撃が走る。
かなり敏感になっている。
このまま・・・続き、やっちゃおかな
みんな今日は遅くまでかかりそうだし。
少々声が出ちゃっても大丈夫よね。
試しに・・・
「あっ、うぅ・・・」
トン、トン!
トン、トン!
うわっ!
ドアがノックされた。
「はっ、はい! 今開けます」
だ、誰だろう?
もうミーティング終わったの?
匂ってないかな・・・
指・・・べたべた
ドアを開けて、びっくり!
そこには天使の笑顔で、シスターマティアスが立っていた。

「わっ! シ・シスター!」
聖なる微笑を見ただけで、どっと溢れ出す。
一瞬にして、腰がくだけそう。
立っていられない・・・
「こんばんは、クレッセントさん。夜分ごめんなさい」
「えっ、いいえ大丈夫です。シスター」
「あのね・・・今日も私を誘ったでしょう? クレッセントさん」
「え〜っ」知りませんよ、ととぼけるつもりだが。
確かに今日、戦闘後の夕食時、またマティアスに誘惑波動とウィンクを送った。
最近の欲求不満をそんな形でのいたずらで、なんとかしようなんて
また、万に一つの希望でも賭けてみて損はなしなんて
とってもお子ちゃまな、クレッセントだった。
・・・が、今まさに奇跡が起きようとしていた。
クレッセントしかいないこの部屋に、天使が1人で訪れたのだ。
まさに、狼の巣窟に迷い込んだ子羊。
ライオンの檻に牛肉。
欲情したクレスに美女。
お・襲っちゃう?
「貴女にぜひ来てもらいたい所があるんですけど、先にお部屋でお話とかします?」
「えっ!」
夢や空想では強気だが、さすがにシスターを前に何もできないクレッセント。
美形がクレッセントのすぐそばに寄ってきた。
「とってもいい香りがするわ・・・どこからかしら」
そっとクレッセントの右手をつかみ、鼻に近づける。
「まぁ、ここから? いけない香りがするわ」
美しい瞳に魅了され、動けないクレッセント。
「また、誘惑してるの?この香りで」
マティアスの微笑みでクレッセントは昇天寸前。
「私は神に仕える身よ。本当にいけない娘ね・・・」
クレッセントの耳に触れるか触れないかのところで、そっとささやくマティアス。
「今日はみなさん遅くまで打ち合わせされるようですから、時間はたっぷりあるわ」
クレッセントの手を両手で握り締めてささやく。
「誘ったんだから、きちんと責任とってくれるわよね?」
カチカチに緊張するクレッセント。
「は・・・はい」
「先に用件をすませてから、楽しみましょうか?」
ただただ、マティアスの吸い込まれそうな瞳と官能的なその唇を見て、下着を濡らすだけだった。
----------
「霧とともに現れ、霧とともに消え去った兵士達。制服はかつてのマジャル槍騎兵団、間違いないな?リコ」
「はい、リングホルン。あの制服は今はなきマジャルの精鋭、槍騎兵の制服です」
「槍騎兵と言えば、かつての帝政マジャルの皇帝が教団警護のために設立した精鋭部隊。その精鋭部隊が、なぜこの地に?」
「いや、それよりも何よりも、あいつら変でしたよ。突いても、切っても襲い掛かってくる。まるで死人のようだった」
リコが信じられないとばかりに語る。
「どうしてそこで死人、ってことになるの?不死身って言うんじゃないの、普通」
「そうなんだが・・・ベジネイト、奴らあまり血が出なかったんだ、切っても」
「だからって・・・」
あきれたように言うベジネイト。
「いや、その・・・直感っていうか、なんというか」
動揺するリコ。
「アンリはどう感じたの?」
「はい、ベジネイト。私もへんな違和感を感じました。その、こいつら生きているのか?って」
「ん〜、感知系の2人が直感したことだ、何かしら死の臭いがしたのかもしれんな」
腕を組み、何かを考えるように言うリングホルン。
「そんな・・・怖いこと言うのやめてよね」
ベジネイトが眉をしかめる。
「イジルは何か感じたか?」
リングホルンがイジルにも確認する。
「はい・・・
特に、なにも」
ちょっとズッコケテみせるベジネイト。
「ははは、実はオーランド神父に今日の出来事に関していくつか質問したんだ」
リングホルンが身を乗り出して語る。
「それで、神父はなんと?」
リコも身を乗り出す。
「神父は・・・亡者があふれ出したと言った」
「亡者?」と、リコがまじな顔をする。
「やっぱり、死人だったんだ」
アンリが不安げに言う。
「神父様ともあろうお方が、馬鹿馬鹿しい」
あくまで認めたくないベジネイト。
「でも、なぜ亡者があふれ出したんですか?」
イジルがリングホルンに尋ねる。
「神父いわく、ベイムート伯爵の怨念が亡者を呼び寄せているらしい」
「ベイムート伯爵? いよいよ本質に迫ってきた感じだぜ」
リコがさらに身を乗り出す。
「怨念とは、また・・・」
ちょっと身を引くアンリ。
「神父様、いろいろお辛い目にあったんですね。でも、お気を確かに!」
天に向かい手を合わせるベジネイト。
「ん〜? とても、まずい感じがしますね」とイジル。
「いやっ、相当まずいぞぉ。これぇ〜」
うれしそうなリコ。
☆Best Site Ranking☆
☆GL Search☆
☆人気のブログ☆
ラベル:レズビアン/百合/ガールズラブ 怨念