カーン!
カーン!
教会の鐘が鳴る。
「あっ!」
目が覚めた。
天井が暗い。
辺りを見渡す。
小さなろうそくが軽く照らすだけで、周りも真っ暗だ。
修道院の自分の寝室。
ベッドの上だ。
汗で、べたべたになっている。
自分の手を見る。
大丈夫だ・・・
ほっと、一安心。
とても、とても怖い夢を見た・・・
思い出すだけで、意識が遠のきそうになる。
シスターマティアスのことばかり考えているから、へんな夢を見てしまったんだろうと思う。
窓から、中庭を通して集会室の灯りが見える。
まだ、ミーティング終わってないのかな?
あれ?
なんか、お尻に・・・違和感がある。
あっ!
お尻に金属?
ア・・・アナルプラグだ!!
その場にへなへなと崩れ落ちる、クレッセント。
混乱し、動揺する頭をなんとか落ち着かせようとするクレッセント。
どこまでが事実で、どこからが夢なの?
それよりもまず、このプラグ
鍵つきプラグだったら・・・かなりというか、超〜やばい!!
トイレ行けない!
じゃない、行けるけど・・・用をたせない!!
どうする、どうするの?
まず、シスターマティアスのところへ行って・・・
でも、誰が?
誰が装着したの、このプラグ?
夢のとおりだったらシスターミディアだわ。
でも、あのシーンは・・・ものすごく怖かったけど
外部からの強制体験、マインドコントロールによる幻覚のような気がする。
そうだ!
恐る恐る、下着を脱ぐ。
シスターマティアスがキスマークを付けるとか付けないとか言ってた・・・
灯りの前で、べたべたのショーツを脱いで、ゆっくりと股間を見る。
あ〜っ!
マ、マティアス!!!
愕然としてベッドに倒れこむ。
涙がポロポロ零れ落ちる。
と、同時に下半身がジーンと熱くなり・・・
じっとりと濡れてくる。
ツルツルに剃られた上に、[マティアスの所有物]と刺青してあった。
頭の中で、大きな大きな鐘が鳴る。
ガーン! ガーン!! ガーン!!!
目の前が真っ白になって何も考えられない。
もう、消せない・・・
ど、どうしよう?
お風呂にも入れないし
Hもできない
それよりもなによりも、帰ったら・・・
セ、セイレンに
セイレンに殺される・・・
責任とってもらって
シ・シスターマティアスに・・・ずっと
で、でも・・・シスター
か・かなり怖いわ・・・どうしよう
白木を真っ黒に染め上げるなんて言ってたし
一生木馬責め、なんてこともありうる・・・
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「クレスが数時間後のランクAのリコやアンリの事後探査に引っかからないってことは、少なくとも特A以上の感知能力者である可能性があるな。
特Aの感知系には、ランクAの探知にひっかからないこと、との条件がある」
「ま、まさか・・・」
ベジネイトがいぶかる。
「みんなも知っていると思うが、特AというのはランクAに対して一芸に秀でて与えられる称号だ。
特A以上の感知能力者ということは、ランクAの感知系基準に対して100倍以上の能力ということになる。
感知系は戦闘になれば真っ先に狙われるという宿命もあって、上位ランクには極端に少なくなってくる。
我がデフィエルデルワーレでも、特Aの感知能力者は2人しかいない。
当然ランクSの感知能力者は0だ」
「そんなに貴重なんだ・・・リコさん、アンリさん頑張ってくださいね」
イジルが2人に言う。
「ランクAまでは、感知系もたくさんいるんだがな・・・この能力で基準の100倍ってのが、超難関なんだよな」
無理だ〜!と言わんばかりに、リコが仰け反って言う。
「そう、一言で感知能力と言っても構成能力は概ね全部で6つ。
現探知、事後探知、遠距離探知、強制認知、誘導、ジャミングよ。
現探知とは、現在の状況探知。
事後探知とは、残留思念探知、残留トラップ探知を含む過去の状況探知と過去から現在へのトラップの探知。人の行動を決定付けた思念の探知よ。
遠距離探知とは、言葉のまま長距離探知。ひとりの人間に対する追尾探知も含めて、遠距離からの監視よ。
強制認知とは、仮想認知とも表現され相手に間違った情報を与え続けること。言わば精神攻撃も含めたマインドコントロールね。
誘導とは瞬間的に強力な暗示をあたえ、本人の望んだ行動とは別の行動をさせること。
そしてジャミングとは妨害、敵の探知や強制認知、誘導を妨害すること。上級になれば敵のジャミングをも中和することも可能よ。
どれか1つでも基準値の100倍になれば特Aになれるんだけど、どれもこれもやっかいなのよね」
アンリが感知能力の説明も兼ねて語る。
「改めて聞くと、感知系と一括りにするには幅が広すぎるな」
「えぇ、その通りです。
最近では、感知系と言わずに、探知系、マインドコントロール系、そしてジャミング系と3つに分けて呼ばれることもあります」
アンリが語る。
「でも、この3つに正式に分けられないのは、やはり上級になるとこれらの能力を複数極める人間がいるからでしょうね。
探知とジャミングに特化しているとか、マインドコントロールとジャミングが得意とか・・・」
「俺も早く複数きわめてみたいよ」と、付け加えて、リコが言う。
「探知とジャミングですか・・・すいません、私が話しの腰を折ってしまったようで。
そういう意味では、クレッセントさんは現探知とジャミングに特化している感知能力者の可能性があるというわけですね?」
「ジャミングか、気づかなかったな。
敵のマインドコントロールにクレスだけ落ちなかったのは、精神防御能力だと思ったが、ジャミング能力の可能性もあるな」
「そうね、いつどこから攻撃を受けるかもしれない精神攻撃に対して防御結界を張るよりも、
積極的に敵からの強制認識に妨害をかけていったほうが効率がいいわ」
「しかし、そんなことが可能なのか?
その場合、まず現探知能力が問われることになる。
敵からの精神攻撃をいち早く認知し、その特性を解析してから、ジャミングをかけることになるからな。
精神攻撃は物理攻撃よりも速い。本当に可能なのか?」
半信半疑でリコが言う。
「一般にはまず不可能よね。でも聞いたことない?
オールラウドジャミング・・・あらゆる探知、あらゆる精神攻撃や誘導をジャミングする究極の技」
「あぁ、究極の技としては聞くが、それは細かいジャミングを重ねて
ほぼオールラウンドジャミング状態になったと言う、
究極状態の名称であり1つの技の名称ではないと思う」
「なるほどな。あくまで状況からの推測ではあるがクレスは、そのオールラウドジャミングの能力者である可能性があるわけだ」
腕を組んで目をつむったままリングホルンが言う。
「い、いえそういうわけではなく・・・話をしている間ににそこまで飛躍してしまったというか・・・」
「いいんだ、アンリ。俺はそれが聞きたかったんだ。
感知系のお前たちがクレスの能力をその目で見て、その可能性を語る。
感知系以外だと判断されている者に実は感知能力があるかもしれないと言ったら、
それを聞いた感知能力者は通常、否定もしくはかなりの批判を浴びせるだろう。
ところがどうだクレスは?
否定するどころか、オールラウンドジャミングという究極技の話にまで発展した。
これはチームを率いるリーダーとしても、俺個人にとっても、貴重な情報であり大きな成果だ。
貴重な意見をどうもありがとう、みんな」
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