2012年08月28日

テスペランサ・ドゥ・ココ01

雲一つない紺碧の空の下
真っ白な街並みの大きな広場に
無数の青いアンブレラ。
おしゃれなカフェのテーブルで語らう
二人の女性。

ギルド、スクートデフィエールの長エルニカと
ギルド、デフィエルデルワーレの長サーシャだ。

「ぜひクレッセントにお願いしたいの・・・」と頭を下げるエルニカ。
「なぜ、クレッセントなの?」困惑顔のサーシャ。

「あの娘、人見知りするよのよね・・・クレスだったら顔見知りだし」
「でもどうして、うちなの?
 依頼主である貴女にこんなこと言うのはおかしいかもしれないけど、
 自分の所にも優秀なバスターは、たくさんいるでしょう?」
「教団とギルド連合が、かつてある部隊を組織したの。
 手に負えない重犯罪者を狩る部隊、
 カバリエレ・ディ・ジュスティツィア(正義の騎士)。
 なぜか、うちのミラにもお呼びがかかっちゃって・・・
 断ったんだけど・・・
 今回だけでもいいので、
 どうしてもと頼まれてしまって」
「連合からの人員派遣要請には
 特別な理由が無い限り応じること・・・
 ギルド連合憲章ね」
「そうなのよ、応じるしかないわ。
 それに連合もミラ達には護衛をつけてくれるっていうし、
 連合騎兵団第3部隊」
「連合騎兵団って、ソルジャーじゃない!」 ←注1
「そう」
「かなりのメンバーがそろっているらしいわね。
 だったら、ミラも安心じゃないの?」
「そうとも言えないわ。
 所詮は連合、命がけでミラを守ってくれるとは思えない」
「ん〜、確かにね・・・」
「それに、連合が我々傘下のギルドに
 Sランクの感知能力者を要請してくること事態、不安だわ。
 連合のSランク感知者は、どうしてるの?
 まさか、真っ先に守らなければならない感知能力者を守れず、
 全滅させちゃったわけ?
 いるならいるで、自分たちの感知者は温存しておいて、
 我々の感知能力者を敵の前面に押し立てるつもり?」
「連合なら、ありうることだけども・・・
 ちょっと、考え過ぎじゃないの?」
「そうかもね・・・
 考えれば考えるほど不安になってきちゃって・・・」
「分かるわ。Sランクの感知能力者なんてこの町にも数人しかいないものね。
 貴重な財産だわ・・・
 ミラはとってもかわいいし♪」
「私やギルドのメンバーが。
 ミラの護衛をしたいと言っても断れらるのよ。
 『Sランク感知能力者を派遣してもらうのは、おたくだけじゃないんだ。
  他の3ギルドにも要請している。
  その全てがぞろぞろ護衛を率いてこられたんではたまらん!
  その為に我々の精鋭、連合騎兵団第3部隊を護衛任務につけているのだ。
  我々の精鋭部隊が信じられないのか!』の一点張り」
「誰が言ってるの、それ?」
「こんなこと言うのは、1人しかいないわ。ベイタムよ」
「あ〜ぁ、ベイタムが相手じゃぁ仕方ないわね・・・貴女の苦労が目に見えるようだわ」
「じゃぁ護衛1人だけお願いしたいと頼んでも、
 『1人でもSランクのような上位ランク者は
  連合騎兵団や他の護衛との連携を悪くする恐れがあるから認められん』って言うのよ」
「結局、押し問答の末。
 同伴が許可されたのは世話係1人だけ。
 それも条件付きで、同一ギルド以外の者で、
 なおかつランクA以上はだめだって・・・」
「ん〜、奴の権威主義も徹底しているわね」
「それで、なんとかクレスにお願いしたいのよ。
報酬ランクはS、指名料も倍払うわ」
「報酬ランクS、破格ね♪」
「あと、私からも個人的にSランク報酬を払うわ・・・ だから、お願い」
「えっ、報酬ランク・・・ダブルSってこと?! どうしてそんなに?」
「この話は他のギルド
 当然サービエにも行ってるはずよ。
 全容が判明すれば、すぐにでもクローディッシュもここへ来るわ。
 あそこも虎の子カンナを出さざるを得なくなると思うの。
 ミラと並び評される感知能力者の上に、
 感知系がうちより少ないサービエにとっては
 死活問題よ!!」
「んん〜っと、うち、
 Sランクの感知者っていないんですけど・・・」
ちょっとおとぼけ顔でサーシャが言う。
「デフィエルデルワーレは、
 上位バトル系の半数以上が優れた感知能力者だということで、
 私達の間では納得がいってることよ」
「なによ、それ? ふふふっ、勝手に納得しないでよ♪」
「貴女達、きちんと感知測定してないでしょう?」
「し、してるわよぉ・・・きちんとぉ、適当にぃ・・・?」
「ほぉ〜ら、デフィエルデルワーレは適当にしかしてないんだ^^」
「だって、感知測定そのものが怪しいじゃない。測定員が勝手に判断するだけでしょう?」
「それでも優秀な測定員だったら、各ランクどこに属するかは、ほぼ正確に判定できるのよ」
「でも能力ランクとハンターランクは別物でしょう?」
「そうだけど・・・。 自分の感知能力のランクを知っておくことは大切よ」
「わかったわ、またみんなで測ってみるわ」

改まって、サーシャが聞く。
「・・・で、破格の報酬の理由は?」
「そうそう、話が脱線してしまったわ。
 それで、クローディッシュがここに来ると思うの、いずれ。
 で、私達からの報酬額を聞いて値を吊り上げてくるかもしれないわけ」
「それは、いい話ね♪」
「あ〜っ! ここまで正直に話してるんだから、お願いよ。
 お願いよ、サーシャ・・・この通り」
深々と頭を下げる
エルニカ。



注1:ソルジャーとは戦闘のみに特化した職種。
   調査、諜報、救助、警備、逮捕など問題解決を幅広く生業とするハンター職と比較して、使用されることが多い。
   ハンターやソルジャーの上位ランク者が、バスターと呼ばれる。

----------

「はじめまして。

ミラ01.jpg

 ギルド、スクートデフィエール(鉄の盾)のミラと申します。
 感知担当としてミッションに参加いたします。
 どうぞよろしくお願いいたします。
 そして、
 こちらは身の回りの世話をしてくれるクレッセントです」
「クレッセントといいます。
 よろしくお願いいたします」

「ほお、お世話係りね・・・」

教団聖騎士団、ギルド連合騎兵団、そして各ギルドから召集された感知能力者との初会合。
カバリエレ・ディ・ジュスティツィア(正義の騎士)のミッションが始まる。

「サンタンフェロ祭で、重犯罪人であり、
 かつ異端者の組織であるヴィンガドーラが破壊活動を行うとの情報を得た。
 ヴィンガドーラは西ユーロで猛威を振るっている有名な秘密結社だ。
 奴等は我々、教団聖騎士団と連合騎兵団が迎え撃つ。
 カバリエレ・ディ・ジュスティツィアの各員、
 それぞれの担当にて最善を尽くして欲しい」

活動目的と大まかな作戦、そして教団、連合の主だった者の紹介が終わり一旦解散。
細かい作戦は各分室で行われる。

ギルドから召集された感知能力者達は、
その護衛を任務とする連合騎兵団第3部隊とのミーティングに入った。

「身の回りの世話だって?
 なんだいそりゃ?
 ま、その器量からすれば、さしずめ夜のお世話か?」
「ハンターランクは・・・B、となってますね」
書類を見ながら連合騎兵団の1人が言う。
「Bだって?
 ランクBがランクSの護衛でもあるまい・・・
 へっ、戦わずして、ベッドでのご奉仕ってとこかね?」

「世話係りでも護衛でもいいが、足手まといにだけはなるなよ!」

ミラが半泣きになって、一部の失礼な連合騎兵達をにらむ。

「やめな!
 クレッセントと言えば
 デフィエルデルワーレのマドンナだ。
 へたな挑発、ちょっかいは出すな!」
ギルド連合の幹部らしき女性が、騎兵達をいさめる。
制服を着ていないので、連合騎兵団ではないようだ。

「ほう、うわさのデフィエルデルワーレの広告塔か?
 どうりで雰囲気が違うと思ったぜ」
「宣伝部長を戦わせるわけにはいかないな。
 俺たちが守ってやるから、安心していな」

「次!」
部隊長の指示で議事進行。

「ギルド、サービエ(剣)のカンナと申します。よろしくお願いします」
「ヒュ〜、ヒュ〜、こっちも可愛いねぇ♪」
「夜の相手はいるのかい? なんなら俺が・・・」

「やめろ!!
 連合の品位を落とすような発言はこのジュネスが許さんぞ!!」
先ほどの連合幹部だ。

「へ〜〜〜い・・・」
「でもなんで俺たちが警護なんだ?
 第1第2も最前線で敵と戦うんだろ?
 なんで俺たち第3部隊だけが、後方でこいつらの警護なんだよ?」
「あぁ、そうだ、そうだ」
「そこ、何か言ったか?」
部隊長の一喝。

「い・いいえ・・・すいません」

----------

「ジュネス、あれがデフィエルデルワーレのクレッセント?」
「そうよ」
「えっと・・・」
書類をぺらぺらめくりながら言う。
「ハンターランクは・・・Bなんだ」
「オカルト専門らしいわよ」
「オカルト?
 ・・・ってことは、対ゲノム?」
「そこまでは分からないわ。単なる不思議現象愛好家かもしれないし^^」
「対新種だったりして♪」
「勝手な想像はやめなさい、ウエル。
 それに、新種に対抗できる者など
 存在しないわ」
「は〜い」
「でも、連合最強の魔女と謳われるマジリアヌのリポートで
 クレッセントの評価を見たことがあるわ」
「fmfm」
「固体戦力の評価は、とんでもなく高かったわ」
「やっぱ、対ゲノムなんじゃないの?」
「ウ・エ・ル・!」
あきれ顔のジュネス。
「は〜い」
「でも、気にはなるはね。
 貴女は今回第3部隊付きだから、
 クレッセントのこと
 よく見ておいてね」

「了・解・♪」


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