ロベルタがフリオの左腹部に触れながら言う。
「なに・・・本当か?」
驚いて、セラに確認するロドリゴ。
「はい、かなりの内部損傷があります」
セラがすぐさま応える。
「左側に攻撃を受けたのは、お人形さんからの1撃目。
フリオのモーニングスターに対するピンポイント攻撃時。
この攻撃でモーニングスターの軌道がずれ、ターゲットは救われたわ。
でも、実はこの攻撃はピンポイントではなくフリオの左側面にダメージを与える衝撃派だった」
「ん〜?」
ロドリゴが眉を寄せる。
「この時に、何かを仕掛けられたのかもしれない」
「な、なんだって?!」
目を閉じフリオに触れながら語るロベルタ。
「左でも右でもいいの。
軸線を8度・・・
例えば認知座標軸を、左へ8度ずらされたら?
少し左にいるターゲットが、自分の真ん前にいると思わされたら?」
「そ、そんなことが・・・できるのか?」
「フリオの1撃目。
モーニングスターは、左上からターゲットに振り下ろされる。
でもターゲットである感知能力者は、実際にはその場所より8度左にいた。
フリオの2撃目、右下から左上への攻撃。
でもターゲットであるお人形さんはもっと左にいた。
フリオの3撃目、お人形さんに全力で突進。
お人形さんもフリオに突撃。
2人の間合いは一瞬にして縮まり、いつものようにモーニングスターを振り上げるフリオ。
でもお人形さんはもっと左にいた。
そこは、自分の太い腕にもさえぎられ・・・完全に死角となっていた。
そして、フリオの装甲障壁をも貫く鋭い鉄拳が炸裂。
いいえ・・・装甲障壁はその部分だけ、中和されたのかもしれない・・・」
「な・・・なんということだ!」
ロドリゴがうめくように言う。
「ま、まさか・・・」
にわかに騒ぎ出すヴァンガドーラのメンバー達。
「す、すごいけど・・・仮定の話なんですよね?」
「仮定の話ではあるけど、ロベルタは・・・予知能力者なんだ。仮説のほどんどが、当たる」
「えっ、本当ですか?!」
「これから我々が体験すること、そして気づくことをも予知する。
ロドリゴがそういう聞き方をした。
立ちふさがる異国の計り知れない能力者、その能力は?
我々が、今気づかなければならないこと、そして将来気づくことは?
今述べられたことが、この先我々が気づくことだったら?」
新人らしきメンバーの問いに、リベルトが応える。
「ロベルタ、どうして8という数字がでてきたんだ?」
ロドリゴが尋ねる。
「8度という数字は、お人形さんによってフリオの認知座標がずらされた角度よ」
静かにロベルタが答える。
「・・・確定だな!
全員よく聞け。
今のはあくまで仮説だ。
しかし、この仮説をたてたのはロベルタだと言うことも、忘れるな。
敵は我々の座標軸をずらしてくる。
攻撃が当たらないと思ったら、座標軸のずれを考えろ!
装甲障壁は中和される可能性がある。
敵に攻撃の暇を与えるな。いいな!!」
ロドリゴが叫ぶ。
「おー!!!」
一同に返事するヴァンガドーラ。
「い、今のは? なぜ、確定なんですか?」
「ああやって、予知の確認をするんだ。
8という数字に関してロベルタが答えられなければ、予知ではなく仮定の話のままかもしれない。
でもしっかりと答えたとなると、確定された予知だということだ」
「な、なるほど・・・」
面倒見のいいリベルトが新人の質問に快く応えている。
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